追っ手

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凪さんは黒が好きらしく、ベッドもパジャマも部屋の家具も車も何でも黒。 ついでに身に纏う雰囲気まで黒。 凪さんが赤や青を身につける所を想像出来ない。 想像できないと言うと、今のこの状況もあの頃は想像もできなかった。 白くて大きくて豪華なあの監獄から抜け出して。 今私は外の世界で、黒が似合う人と生活を始めている。 その上学校にも通えると言う。 目の前に広がるのは限りなく広い世界。 本当に本当に、信じられない気持ちだ。 だけどこの重みも温かさも夢じゃない。 この数日間の出来事は紛れもなくリアルだ。
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