罪と向き合う

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罪と向き合う

「ねぇ、愛咲。タイムリープして あたしと仲良くなって良かった?」 「もちろん、ユリのこと親友だと 思えるまでになったよ」 「……そう思えたんなら良かった。 愛咲はいつも退屈そうだったから」 ユリは優しい笑顔を浮かべている。 なぜ、人殺しの自分にそんな顔をするのか。 「たくさんの人の命を奪った愛咲は 決して許されないけどあたしは 愛咲と本当の親友になれて嬉しかった。 だから、あたしだけは愛咲を許すよ。」 「ユリ……ダメだよ。 私は許してもらえるような人間じゃない。」 「ふふ。愛咲にそんな気持ちが芽生えて良かった。 あたし、ずっと愛咲が心配だったから。 本当は愛咲を恨んでる気持ちもあるけど 愛咲が反省してるならもういいの」 「ユリっお願いだから怒ってよ」 ユリは愛咲を優しく抱きしめる。 「来世ではちゃんと親友になろうね」 抱きしめていた感覚が無くなり、いつの間にか ユリは消えていた。 その瞬間、刑務所の中に戻っていた。 「どうでしたか?星は集められましたか?」 優しい声で女神に問われ愛咲は涙を拭う。 「……はい。私ちゃんと自分の罪を償わないと。 そうしないと、愛咲に顔向けできませんから。 女神様、私の過去を思い出させてくれて ありがとうございます」 愛咲はやっと自分の罪に向き合うことができた。 来世があるのなら、人のために生きよう。 そう決意し、命が終わるタイムリミットが迫るなか 愛咲はいつまでも輝く星々を見上げていた。 (終わり)
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