「喜びと楽しみ」

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「喜びと楽しみ」

「ねぇねぇ、聞いて! あたし、山本先輩に告白されちゃった!」 ユリの胸にオレンジ色の光が灯る。 これが喜怒哀楽の「喜」。 ユリの中の光が 分裂し愛咲の体の中に入ってきた。 その瞬間、ユリに喜ばしい出来事が起こったことが 自分のことのように嬉しくなった。 「良かったね!山本先輩と付き合うの?」 「うん! ずっと好きだったし 付き合おうと思ってるよ」 これが嬉しいという気持ちなのか。 ポワポワ、フワフワ。 そんな気持ち。 愛咲ははじめての感情に 今までの自分は損をして過ごしていたなと感じた。 同時にチクリとした痛みを感じたが 愛咲にはまだこの感情がわからなかった。 ユリと愛咲は日に日に仲良くなっていった。 2人で一緒にいるときが何よりも楽しい。 ああ、そうか。 これが楽しいという感情なんだ。 そう自覚すると、どこからか桃色の光が 愛咲の胸の中に飛び込んできた。 「ねぇ、今度はプリクラ撮ろうよ!」 「おっ、いいね! 撮ろ撮ろ!」 幸せだな。 だけど日に日にチクチクした感情が強くなっていく。 これは一体何の感情??
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