どうしてあたしを殺したの?

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どうしてあたしを殺したの?

「やっと思い出したの?」 部屋の中に声が響く。 声のした方を見ると自宅にいるはずのユリが 真顔で暗闇に佇んでいた。 「ヒッ」 ユリは大粒の涙を流して顔を歪ませた。 「ずっと、辛かったんだよ。 あたし、愛咲に殺されてからずっと 苦しんでた。親友に殺されるって どれほど苦しいか分かる? わからないよね。 だから、女神様に頼んで 感情を集めさせたんだよ。  あの頃の愛咲に戻って欲しくて……。 愛咲は生まれつき感情が欠けていたわけじゃないの。 感情をひとつずつ失っていただけなの」 衝撃の事実に愛咲は絶句する。 もともと私には感情があった? 「ねぇ、どうしてあたしを殺したの? わかってる。退屈だったからって理由なんだよね。 だとしても人を殺す理由にはならないよ。 少なくとも、あたしは愛咲を親友だと思ってたのに」 ユリの胸が赤く光り愛咲の 胸に怒りの感情が流れ込む。 「……ご、めんなさい…… 感情が揃った今なら分かる。 私がやったことは間違いだったんだって。 人の命を奪って反省もしてなかった。 私は間違った選択をしてしまった」 謝っても許されることではないが 愛咲は謝ることしかできなかった。
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