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ニュースが流れ終わっても尚呆然としていると、携帯が鳴った。
画面も見ずに急いで出るとそれは予想通り侑生からだった。
『麗、ニュース見たか?』
「み、見たっていうか……何、これ……どうなってるの?」
携帯を握る手が、声が、震える。
それほどの恐怖が心を支配していた。
チャンネルを変えると別のニュース番組でも取り上げられていて、そこに流れているのは嘘みたいな信じられない映像だった。
『マシロさんからたった今連絡があった』
「……」
『夜中のうちに施設が襲われた。犯人は四人組のグループだったらしい』
「……ハルは?」
『……』
「ねぇ、侑生。ハルは?ハルは無事なの?」
張り巡らされた黄色いバリケードテープは危険区域を封鎖するためのもので、それが一つの建物の周りを覆い囲っている。
血痕の残された地面がそこに映し出された時には、頭の中がぐちゃぐちゃになっていた。次から次へと飛び込む衝撃的な情報に息が荒くなる。
だって、おかしい。
そこは警察の監視下の元で成り立っている養護施設のはずで、セキュリティだって万全で、警備だって常駐しているってマシロさんが言っていた。
言っていたのに。
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