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『麗、落ちついて聞いて』
「……」
『大人が二人。子供二人が殺されてた。その中にハルはいなかった』
「そんな…でも、じゃあハルは無事なの?」
『だけど、無事だった子供達によるとハルが連れて行かれたらしい』
「連れて行かれた?」
『他の人間を殺されたくなかったら大人しく来いと脅されて、無理矢理連れて行かれたって』
「……」
『今、マシロさんが』
「……マーノは?」
侑生が話している間にも、瞬時に頭の中には絶対に奴しかいないという考えが過ぎる。
『マシロさんが既に当たってる。だけど知らないって言い張ってる』
「そんなの嘘に決まってる」
『ああ、だから今から動く。すぐに奴と接触する』
「……分かった。待ってる」
本当は今すぐにでも駆け出して行きたかった。
だってきっと震えてる。
今この瞬間も、ハルは突然与えられた恐怖に怯えている。
だけど今は煌生のことを考えたら、私はここを離れたらいけない。
『絶対に助け出す』
それだけ言って切られた電話に、携帯を持っていた手が力を失ったようにパタリと下に落ちた。
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