約束

17/20
前へ
/111ページ
次へ
何度も頭を下げるマシロさんに、煌生は首を横に振った。 「マシロさんは悪くないです」 「煌生くん…」 「俺は何があっても諦めないです。絶対にハルを助け出す」 「……」 「そして…ハルを傷付けた奴らに、復讐してやる」 呟いた煌生の顔を見たマシロさんは驚いたように目を見開いて、その横で侑生は顔を伏せた。 煌生の激しい憎悪に満ちた声にぞわりと悪寒が走り、それでも今はその気持ちを止めようとは思わなかった。 だって私も同じだったから。 幼い頃の私も、壮絶な憎しみを自分一人で背負っていくことなんて出来ずに、どこかにぶつけなければ押し潰されていた。 いつだったか、"憎しみに支配されたら駄目だ"という言葉を聞いたことがあるけれど――実際に大切なものを失った人は、誰かを憎まなければ生きることさえ苦しいと感じるんだ。
/111ページ

最初のコメントを投稿しよう!

215人が本棚に入れています
本棚に追加