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何度も頭を下げるマシロさんに、煌生は首を横に振った。
「マシロさんは悪くないです」
「煌生くん…」
「俺は何があっても諦めないです。絶対にハルを助け出す」
「……」
「そして…ハルを傷付けた奴らに、復讐してやる」
呟いた煌生の顔を見たマシロさんは驚いたように目を見開いて、その横で侑生は顔を伏せた。
煌生の激しい憎悪に満ちた声にぞわりと悪寒が走り、それでも今はその気持ちを止めようとは思わなかった。
だって私も同じだったから。
幼い頃の私も、壮絶な憎しみを自分一人で背負っていくことなんて出来ずに、どこかにぶつけなければ押し潰されていた。
いつだったか、"憎しみに支配されたら駄目だ"という言葉を聞いたことがあるけれど――実際に大切なものを失った人は、誰かを憎まなければ生きることさえ苦しいと感じるんだ。
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