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「あー。えーっと……うん、」
「うん?」
「その、なんだ、えーっと…」
「えーっと?」
「だから、その…」
「その?」
「…っ、や、やるっ!」
「え」
バッとそれをハルに向かって差し出した煌生は、口を手の甲で隠しながら違う方向を向いて顔を真っ赤にさせている。
キョトンっと目を大きくさせながらもそれを受け取ったハルは、煌生の顔を見てから再び包みに視線を戻した。
「べ、別にいらないなら…って、早いな」
無言のままビリビリと紙を破るハルは、見掛けによらずかなり大雑把だ。
ハルの目の前にしゃがみ込んだ煌生が不安そうに見つめていて、なんて微笑ましい光景なんだろう、と思いながら侑生と目を合わせた。
「あー…それ、ハルに似合うかなって…」
「……つけて」
「へ?」
「あたしの耳につけてくれます?」
髪を耳にかけて「ん」とピアスを渡すハルに、煌生はピシリと固まった。
「え、つけんの?俺が?」
「イヤなのか?」
「イヤとかじゃないけど…」
「女々しい奴はぶっ潰す!」
「わ、わかったよ」
おずおずとそれを受け取って、怖々とハルの耳に触れる煌生はかなり緊張している。
そりゃあ好きな女の子にピアスをつけてあげるなんて胸が騒ぐに決まってる。
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