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それにしても煌生を乗せる時は極力ゆっくり走ってるつもりなのに、どうやらそれでも恐怖を与えてしまっていたらしい。
どおりで後ろでヒーヒー騒いでたわけか。自分の世界に入り込んでしまってそれどころじゃなかったからなぁ。
「じゃあ今日は煌生が俺の後ろな」
チャリ、と鍵を揺らす侑生に、煌生が嬉しそうに飛び跳ねる。
ちぇっ…私だってバイク運転しかったのに。
「ママー!準備できた!」
「はいはい、じゃあ行こっか」
リビングに駆け込んできたゆづはおやつのたんまり入ったリュックを背負っていて、小さな体には少し重たそうだ。
「お花見楽しみだなぁ!」
「そうだね。桜、満開だといいね」
先に外に出ていた侑生と煌生の後を追うようにして家を出ると、既にフルフェイスのヘルメットを被った二人が黒い大型のバイクに跨っていた。
「先行く」とだけ告げた侑生の背中には煌生がしがみついてて、興奮のあまり足をバタつかせている。
その直後発進したバイクは、あっという間に見えなくなってしまった。
あの運転よりも私の運転の方が怖いだなんて、絶対に認めない。
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