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持ってきたお弁当を囲んで、ちまちまと飲みながら色んな話をした。
子供達の将来の話だとか、たまに過去の話だとか。
大人になっても変わらずに話題が尽きることなく盛り上がり、終始笑いに溢れているこの空間は、いつだって私の落ちつける場所だ。
「ねぇ…あれちょっとやばくない?」
難しい顔をして彩綾が指をさしたのは、煌生とハルが一緒に過ごしている方向だった。
全員で顔を向ければ、そこには煌生とハルの他に数人の男の子達が立っている。二人の知り合いかと思ったけど、雰囲気的に違う気がした。
煌生より年上だろうか。少しだけ体の大きい彼らからハルを守るようにして立つ煌生は、じっと男の子を睨み付けている。
「ちょっと行ってくる」
「ほっとけよ。煌生がなんとかするだろ」
「でも相手は煌生より大きいよ?」
「大きい相手を平気でぶっ飛ばす女の言う台詞とは思えないね」
「それはそれ!これはこれ!」
悠長に構える侑生に思わず声を荒げれば、「いいから」と腕を掴まれた。
「男だったらここで好きな女にかっこいいとこ見せたいんだよ」
「……」
そりゃあ私も煌生のかっこいいところは見たいけど…
そう思った私は、不服ながらももう一度その場に腰掛けた。
僅かに聞こえてくる声に耳を澄ませると、どうやら彼らはハルの容姿に突っかかってきたみたいだ。
「緑の瞳が気持ち悪い」と悪口を言ってしまうのも、子供ゆえの無知さだろうか。それがどんなに相手を傷付けてしまうのか分かっていない。
「やめろよ」と制す煌生に、男の子達は馬鹿にしたように笑った。
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