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素早く立ち上がり、扉を開けると、そこには元々家にいるはずのない二人が立っていた。
ついさっき渚荘に向かったはずの煌生とハルは、怪訝そうに私を見上げている。
「忘れ物をして取りに戻ってきたんだ。そしたら話が聞こえて、それで」
「煌生、」
「何、今の話。ハルが何?」
「……」
「誰がハルのことを捜してるの?」
「煌生、まって。ね?ハルの前だから」
「何それ。何か聞かれたらまずいことなの?」
「煌生、」
「…なんの話だよ!」
動揺しているのか大きな声を出して私の両手を強く掴んできた煌生に、思わず一歩だけ後ずさった。
「煌生、落ちつけ」
「こんなの落ちつけるわけないだろ!」
いつの間にか私の隣に立っていた侑生が、煌生の前にしゃがみ込む。煌生の横にいるハルは、じっと私の顔を見上げていた。
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