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「煌生、泣かないの?」
「泣くわけないだろ」
「へへっ」
「なんでハルは泣かないんだよ」
「だって、またすぐに会えるでしょう?」
「……」
「だから泣かないのだ!」
「…って言いながら泣いてんのはどこのどいつだ」
「あれー?おかしいなぁ」
玄関を出た所で向かい合う二人。
その後ろではマシロさんの待つ車が待機していた。
「ったく」と言いながら煌生がハルの頭を引き寄せると、ハルの小さな体が小刻みに震える。
「おかしいなぁ……パパとママがいなくなった寂しさは麗とゆーいのおかげでちょっぴりだけになったのに、煌生と離れるってなったら、すごく寂しいんだ」
「俺もだよ」
「煌生も?」
「俺も…ハルと離れたくない」
ぎゅっと体ごと抱き締めた煌生はハルの髪に顔を寄せる。
その表情は、とても切なそうに歪んでいた。
「りんおーせき見ていつも思い出すね。煌生のこと一日五回!」
「だったら俺はもっと思い出すよ」
「もっと?」
「うん。四六時中ハルのことを考えるから」
「煌生、暇なの?」
「ここは感動するとこだろ」
「会えない時間が愛を育むのだ!」
「はいはい、そうですね」
ガバッと煌生から離れたハルは目に溜まっている涙をゴシゴシと拭って、煌生の首元で光るリングに触れた。
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