瞳に映るのは

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月が隠れて、黒く染まった夜空が広がる夜の七時。 外から開かれたドアに、車内から足を踏み出して地面に降り立つ。 外で待つレオはパーティー仕様のスーツを着ていて、その腕に手を絡ませてエスコートを受けながら歩くのは一年以上ぶりだ。 元々の身長が百七十ちょっとある私がヒールを履けばとても背が高くなってしまうけど、レオはそれ以上に高い。丁度いい身長差にその顔を見上げれば、社交辞令のような笑みを貼り付けた顔が私に向けられた。 レオは凄く目立つ。俳優のような出で立ちに女性達がうっとりと顔を緩ませて足を止める程には注目を集めていた。 私に気遣うようにゆっくりと階段をのぼる彼は、はたから見れば紳士的に見えるに違いない。けれど実際は、人目がなかったら私を平気で引きずるくらいには冷たい男だ。 「レオがこんな大々的なパーティーに参加するなんて珍しいね」 「ここ最近は、ある目的の為に情報収集を欠かさないようにしている」 「ある目的?」 「それよりも、初めて見るドレスだがよく似合ってる」 「……」 あからさまに話を逸らされたことに訝しく思いながらも、周りの目を気にして微笑みかけた。 細くなったというよりはやつれてしまった体に今までのドレスが合うわけがなく、僅か一日で買い付けられた物は初めて着るような系統だった。 ベアトップの真っ白なドレスは膝よりも少し短めで、ホワイトの明るい色感が肌を明るく見せてくれる。痣の部分はミホさんがメイクで隠したため、さほど目立たなかった。
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