瞳に映るのは

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会合と言いながらも、とても大きなパーティーだった。こんなことは初めてで、内心戸惑いながらも辺りにちらちらと視線を向ける。 というのも、基本的にレオは、お得意様が主体で開くパーティーに呼ばれても断ることが大半だったから。裏社会の中でももっと深い場所でひっそりと動くのがNoirであり、こんな大っぴらな集まりは断固として拒否するのだ。 レオの言った"情報収集"という言葉が気になったけれど、それよりも今は、レオに挨拶にやってくるマフィアのボス達に愛想良く振る舞うことに専念した。 「久しぶりじゃないか」 そう話し掛けてくる彼は、流暢なフランス語を話す。差し出された手を握り返すレオも、同じ言葉で挨拶を口にした。 「おや、君は?」 「彼女は叶羽だ。美人だろ?」 「ああ、うん…とても」 レオが私を紹介する横で艶やかに笑い掛けると、彼は恍惚とした表情を浮かべる。本当だったらここでレオに不利になるように失礼な態度をとってやりたいけれど、そんなことをしたら後でどうなるのかちゃんと分かっていた。 「彼女は…えっと、」 「ああ…ドレスの下には凶器が潜んでいるかもしれない。安易に手は出さない方がいい」 彼の耳元で小声で伝えられた言葉は、遠回しに私が組織の一員だということを教えていた。すると男性は大きく目を見開き、「まさか」と零すと、まじまじと私の顔を眺めてくる。 「叶羽はうちの優秀な組員なんだ。依頼料は桁外れだが」 「彼女も、なんでも…?」 「ああ。幅広く対応できる。そうだな、例えば…殺しも軽々とやってのける」 レオの言葉に内心ひやりとしたけど、何事もないように頷く。そうやって何も言わないまま素直に笑い続ける私に、レオが満足気な眼差しを向けているのが視界の端で分かる。 もしかしたらレオはこうして私を紹介するためにここに連れて来たのだろうか。そして依頼がきたら、私はいつだって駆り出されるのだと知らしめたかったのだろうか。 その後も繰り返し私を紹介するレオに、段々と気分が悪くなっていった。
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