愛、煩い

2/200
前へ
/200ページ
次へ
通い始めたばかりの大学生活にはまだ慣れることがなかった。 教室は広々としたキャンパス内に点在しているため、毎時間あっちに行ったりこっちに行ったりしなければならない。 凛が同じ学部で履修も同じだったから良かったけど、自分じゃなんの授業を取ればいいのか分からなかった。とは言っても、凛の時間割は煌生が全部見て考えてあげたのだと聞いた時は惚れ直した。 普段は面倒臭がりだけど、そういう世話焼きな所もあったりする。 「医学部は大変そうだね」 「そうね。毎日課題も鬼のようにあるし、授業内テストだってあるの。二年生になったら海外研修もあるみたいだわ」 「うわぁ…」 「挙げ句にこの美貌でしょ?白衣なんか着たらみんな私にメロメロだから、そんな時間ないって言ってるのに男共が群がってくるから大変なの」 「ゆんの噂はうちの学部にも回ってきてるよ。漆黒のマドンナ」 「あら。うちの学部ではハルのことは金髪のエンジェルって広まってるわよ。ちなみに『金髪のエンジェルが今日の昼は何号館の学食にいるぞ』とかいう噂も必ず回るのよ?」 「え…何それ」 「凛、だからハルちゃんと一緒にいたくないんだよねぇ。学食とか絶対混雑するんだもん」 「私もこういう時はハルと同じ学部じゃなくて良かったって心底思うわ」 「……」 唯一の友達二人に雑な扱いを受けて酷く傷付いた。 言っとくけど私だって、凛とゆんと一緒にいたら、私のナイスバデーがナイスバデーじゃなくなるから嫌なんだからな。
/200ページ

最初のコメントを投稿しよう!

110人が本棚に入れています
本棚に追加