133人が本棚に入れています
本棚に追加
「麗さんとハルが揃ってんのに面倒臭いことが起こらないわけがないよな」
「大丈夫!ケイのことは私が守るから!」
「うん。ごめんだけどこの中で誰よりも足手まといなのは俺だからちょっと軽やかにフェードアウトしようかな」
「フェードアウトしたくても出来そうにないけどね」
麗は笑みを浮かべて、振り向いて歩いて行こうとするケイの背中に声を掛ける。言うや否や、ケイの行く手を阻むように三人の男が立ち塞がった。
同時に私達の前に現れたのは二人の男。どちらもガタイが良く、見た目はそこそこ強そうだ。
「えー…もう…なんで突然こんなことになってんの?」
「ナンパじゃない?」
「ナンパにしては俺の前に立ってる奴が俺に銃口向けてるんだけど」
「だったらケイに恨みでもあるんじゃないの?」
「恨みを買うことは過去に散々してきたけど俺の正体はバレてないはず」
「それかケイが今まで泣かせてきた女の子達の恋人、とか?」
「そのパターンも過去に何回かあったけど、正直それで俺を責められてもって感じじゃない?俺じゃなくて、恋人に浮気された自分の魅力の無さを責めるべきだと思うんだよね」
「もう発言が最低だからここは素直に撃ち殺されれば?」
「ごめんなさい。俺を見捨てないで」
ケイの遊び人発言に麗は心底どん引いている。だけど私はケイのそんな悪いところも好き。
と、まぁ、この状況をまったく物ともせずにペラペラと会話をしている私達に、男達は訝しげな表情を浮かべている。そのうちの一人が、「静かにしろ」と英語で言った。
最初のコメントを投稿しよう!