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「すっげ。瞬殺」
「麗、勝手に肩借りてごめんね」
「ううん。ハルなら飛んでくるだろうなって思ったから。それにハルも初めちゃんと避けてくれたね」
「うん。麗ならきっとそうするだろうなって思ったから」
「君達の会話が人語に聞こえないんだけど俺がおかしいのかな?」
ちょっと格好良く『麗ならそうするだろうなと思って』と言ってみたけれど、実際は麗の振り上げられた脚に瞬時に反応しただけだ。ただ一つ引っ掛かるのは、麗は多分私が避けてなかったら普通に私の後頭部を蹴ってたと思うんだよね。酒乱な麗は多分味方も敵も関係なく、ただ純粋に暴れたかっただけなんだと思うんだよね。
と、内心では心臓がばくばくしていたのは内緒だ。
しかし今はのんびりしている場合じゃなかった。慌ててスマホを取り出すと、今度は躊躇することなくゆんに電話を掛ける。そしてホテルに向かって走り出す麗に続いた。
私も麗もケイも分かっていた。男達の狙いがレオとルナであり、空港で合流している私達を見ていたのならば、私達の他に誰が狙われるのかを。
「駄目だ、出ない」と呟いて、今度はルナに電話を掛ける。いつもは滅多に繋がらないけれど、およそ十コールほどで呼び出し音が途切れた。
「ルナ!ゆんと一緒!?」
開口一番に問い掛ければ、無口なルナが食いつくことは確実だった。私の様子に切羽詰まったものを感じたのか、電話の向こうで動く気配がする。
ホテルに到着して自動扉を潜り抜けると、ケイがフロントに鍵を取りに行った。
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