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「……大丈夫」
『……』
「私は大丈夫だから」
『ゆん、』
「ルナは絶対に来ないで…っ、」
男達の要求と真逆のことを口走ると、中にはなんとなく日本語をかじっている男がいるらしく、私が余計なことを話しているのだと勘付いたみたいだ。
左頬を殴られて床の上に勢いよく倒れる。代わりに電話に出た男がこの場所を伝えて、更に「来なければ女を殺す」と告げると通話を切った。
「……言っとくけどルナは来ないわよ」
「あ?」
「彼は危険な目に遭うと分かっててやって来るような馬鹿な人じゃないわ。それに私は、彼にとって命懸けで助けるような女じゃないの」
「だったらあんたが死ぬだけだ」
「……」
「それにお前はまだこの状況を理解出来てないらしい」
そう言うや否や、男は再び私の頬を殴った。それも今まで殴られたことのないような強い力だ。加えて手と足の自由が利かないせいで吹き飛ぶように倒れて、地面に顔を擦った。
「頭の悪い女だ。こんなに震えているのに反抗するなんて」
髪を掴まれて引っ張られる。男の言う通り、たかだか二発殴られただけなのに私の体は小刻みに震えていた。
だって正直凄く怖い。こんな訳の分からない場所で知らない男達に囲まれて、ナイフで脅されるとか意味分かんないし、こんなに可愛い顔をぶん殴る男が存在することだって信じられなかった。
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