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「いいか。正直に答えろ」
「……」
「お前はこいつの仲間か?」
男は一枚の写真を私に向かって見せる。そこには隠し撮りなのか、一人の男性の横顔が映っていた。
「空港で会ってただろう?」
「……この人が誰かっていうのは知ってるけど、詳しくは知らないわ。なにせ空港で会ったのが初対面だから」
「どういう繋がりだ?」
「繋がり…」
それは間違いなくレオさんだけど、繋がりだと聞かれたらどう答えればいいのか分からない。黙り込むと、もっと強く髪を引っ張られた。
「俺らは、この男も、ルナという男も、その仲間も、全て見つけ出して消さなければならない」
「消す?」
「俺らの邪魔をされたら困るんだよ。だからお前に聞いてるんだ。お前が仲間だったら殺すし、違うのならどんな関係なのか話せ」
その時ふと頭に浮かんだのは、今日アオさんに聞いた話だ。レオさんとチェスさんがデカいヤマを抱えているとかなんとか言っていたけれど、もしかしてそのことと関係あるのだろうか。
だけど私はなんとなく分かっていた。きっと何か有益な情報を言ったところで、私は口封じのために殺される。だったら無言を貫いたまま死んだ方がルナに迷惑を掛けることはないんじゃないかと。
「言わないわ」
「何?」
「例え何かを知っていたとしても言わない」
恐怖のせいか、声が異常に震えて、呼吸も浅かった。
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