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「動くな」
ルナが回し蹴りで相手を吹き飛ばした直後、一人の男がルナに銃を向けながら言い放った。今この空間にいるのは、私、ルナ、私を殴った男、ルナに拳銃を向けている男、の四人だ。
ルナが動かなくなったことを確認すると、男は、ス、と何かを取り出す。目を凝らして見てみると、それは何かボタンのようなものだった。
……ああ。確かああいうの見たことがあるわ。この前見た某推理アニメ名探偵コ◯ンの中で、爆弾のスイッチが確かあんな形だったかしら。
まぁ、今は別に爆弾とか関係ないんでしょうけど……
「これはあの女に仕掛けてる爆弾のスイッチだ」
「え」
「これ以上逆らうようならあの女を爆破させる」
「……ええ!?」
男が告げた途端に、思わず場違いな声を出してしまった。だってまさか本当に爆弾のスイッチだったなんて、驚くのも無理はないだろう。
すると、うるさいと言わんばかりに横っ面を殴られて再び床に倒れた。今の衝撃で爆破するんじゃないかとヒヤリとした。
「安心しろ。縄に仕込んであるが少しの刺激じゃ爆破しない。が、スイッチを押せば木っ端微塵だ」
「……」
「拳銃を置いてこっちに寄越せ」
ルナの瞳がちらりと私に向く。目があってすぐに、「駄目」と呟いた。
だって嫌だった。この後ルナがどんな目に合うのか考えるだけで、爆弾のことなんて頭から吹き飛ぶくらい、嫌で嫌で仕方がなかった。
「ルナ、駄目…っ、」
「うるせぇ女だな」
髪を掴まれて、男が拳を翳すのが見える。反射的に目を閉じて与えられる衝撃に備えた。
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