真実の愛とは

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「あ!ご、ごめん!」 「……」 「ごめんなさい、睨まないで…」 ルナの膝の間に座りながら、しゅん、と頭を下げる。ルナは私を睨みつけていたけど、疲れたように短く溜め息を吐くと、着ている上着を脱いだ。 「あ。ありがとう」 それを私の肩にかけてくれて、そこでようやく自分の恰好に気が付いた。 そういえばさっき胸元をナイフで切りつけられたんだった。だけど今はそんなことより、ルナの傷だらけの顔の方が大ごとだった。 「ルナ、ごめんなさい。私が連れ去られたせいでこんな傷…」 「……」 「ごめんね、痛いよね」 「別にゆんが悪いわけじゃねーし、俺は平気」 「でも、」 「慣れてるから」 「……」 「男だし、殴られてもどうってことない」 「……平気じゃない」 「……」 「平気じゃないでしょ!」 思わず大きな声を出すと、驚いたのかルナの手がぴくりと揺れた。 「慣れてるとか…そういう問題じゃない」 「……」 「男だから、とか、それも違う」 「……」 「だってルナは、過去に沢山辛い想いをして、いっぱい傷付いてきたでしょ?」 声が震えそうになるのを必死に抑えて、ゆっくりと言葉を紡ぐ。そんな私をルナはじっと見つめていた。 「だから…もうルナは傷付かなくていいんだよっ、」 拳を握り締めて、グッと唇を噛む。また同情しているのかと思われるのが嫌で、泣くのだけは避けたかった。
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