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「ねぇ、私のこと知らない?結構有名なモデルだったりするんだけどな?」
「知らない」
「嘘!よく見てよ〜」
腕をグイグイと引っ張られて、うんざりしながらも女を横目に見る。マリもそうだけど、モデルというのは自分に自信があり過ぎると思う。まぁ、そうじゃなかったら仕事が務まらないのだろうけど。
でも正直、その女よりもさっきの美澄の方が何倍も可愛かった。さっきは言わなかったけど、断然そう思う。女にもマリにも悪いけど、どんな男も速攻美澄の方に傾くと思う。
何がそんなに違うのかと聞かれたら難しいのだけど、きっぱり断言出来るとしたら、美澄は化粧をしない段階で既に出来上がっている。繊細とか、儚げとか、透明とか、清らかとか、そんな柔らかい単語が似合うような美人だ。要は守りたくなるようなタイプ。
そんな美澄が大変身を遂げた姿を前にして、腰ほっそ、肌白、顔ちっさ、という言葉を永遠に脳内でリピートしていた。キモがられるからぜってぇ言わないけど。
真面目な話、だからどんなに同じ恰好をしていても、マリと違うことは一目瞭然だった。百歩譲ってぱっと見は同一人物に見えても、顔を見ればすぐに分かってしまう。
分かってしまうからこそ――
「……は?」
そこに現れた美澄を見た瞬間に、頭の中にはクエスチョンマークが浮かんだ。
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