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えいっ、という掛け声と共にバキッと鍵が捻じ曲がった。まさか本当に壊すとは。
「羽衣ちゃん、見て見て。青空が綺麗だよ」
「本当に君ってネジが外れてるよね」
「もうっ、君じゃなくて世莉だよって何回も言ってるのに。でも羽衣ちゃんに君って呼ばれるのも、頭の良い男子生徒に見下されて論破されているようでドキドキするよね」
「キモいから飛び降りてくれないかな」
「きゃ!久々に羽衣ちゃんの毒舌が聞けた!嬉しい!」
世莉はゴロンと仰向けに寝そべると足をバタつかせて喜ぶ。スカートがめくれてパンツが見えた。
「あーあ。毎日こうして羽衣ちゃんといれたら良いのに。一年生の頃は楽しかったなぁ」
「っていっても、週に二回くらいしか登校してなかったけど」
「でも週に二回は一緒にいれたじゃない。今なんてクラス離れてるし、羽衣ちゃんも休んでばっかりだし、全然会えないんだもん」
「友達一人もいないの?」
「頑張って作ろうとしたんだけど、堀田さんが女子達に世莉と話すなって」
「なんで堀田さんに目を付けられたの?」
「クラス替え初日に世莉が可愛すぎるあまり男共がデレデレしながら話しかけてきたの。それに嫉妬した堀田さんが次の日から嫌がらせをし始めたってわけ」
「なるほど」
「でもさ、性格も見た目も醜い堀田さんが世莉に嫉妬するとか何様って感じじゃない?顔面凶器なくせに世莉と同じ土俵に立てていると思っていることこそがそもそもの勘違いだと思うの」
「いじめたくなるのはそういう神経が図太いところだと思うよ」
「あーあ。前歯折っておくんだった」
ぷっと頬を膨らませる姿は可愛いのに、その暴言は凄まじい。世莉の隣りに寝転がりながらも苦い笑みを零した。
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