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「あ、ねぇ。そういえばニュース見た?隣町で起きた女子高生誘拐事件の容疑者が今朝捕まったらしいよ」
「ああ、らしいね」
「だけど未だにその女子高生を助けたヒーローが見つかってないんだって」
「ヒーローって、通りすがりの人がたまたま見つけたんじゃないの」
「いやいやいや。だって女子高生が監禁されてたのって山奥だよ?その女子高生曰く、誰かが突然現れて、警察署の前まで運んでくれたって話だけど。その後匿名で女子高生が監禁されていた場所が送られてきて、そのお陰で犯人逮捕に繋がったって」
「やけに詳しいんだね」
「だって素敵じゃない?人の命を救っただけじゃなく、そのことを鼻にかけずに静かに姿を消す。映画の中に出てくるヒーローみたい」
「ただ単に疑いをかけられるのが嫌だっただけだと思うよ」
「ほんと羽衣ちゃんって夢がないよね。そんな冷めてるところが好きなんだけど」
確かにそのニュースは一時大きな話題になった。塾に行ったっきり帰って来なくなった女の子が、行方不明になってから五日ほどで戻ってきたという話だ。それも衰弱している状態で、あと一日経っていたら死んでいただろうと言われていた。
その助かった方法が今世莉が話した通り奇妙だったので、ミーハーな女子高生達は騒ぎに騒ぎまくっている。
「はぁ…一体どんな王子様なのかしら」
もしそのヒーローが女だと分かったら、一体どんな反応をするのだろう。
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