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女が言った通りあの後ワゴン車がやってきて、そこから数人の男達が現れた。女が一体どうしたのかというと、『この死体はこちらで引き取りたい』と申し出たのだ。もちろん相手は文句を言ったけど、女は奴らの足元にボストンバッグを放り投げた。
更に、『死体を処分することを指示してきた方にはちゃんとあなた方が処分したと伝えてください』と嘘をつくことを要求して、もう一つ同じカバンを渡した。
「金か?」
「さぁ、どうでしょう。もしかしたら白い粉かもしれませんよ?」
「……あんたらまじで何者なんだよ」
げんなりしながらも煙草を咥える。するとすぐさまジッポが差し出され、女が火を付けてくれる。機転の早さに驚きつつも、素直に煙草を近付けた。
「今のも俺の動きを先読みして…ってことか?」
「おや?その言い方ですと、少しくらいは羽衣の力を信じてくださったという解釈でよろしいでしょうか?」
「いや、まぁ、はっきり信じたとは言えねぇけど。でもやっぱ、あいつの言ったことは本当だったのかなって…少しだけ思わなくもない」
「ほう。意外と王子の脳みそは柔軟でしたね」
「で?実際のところはどうなんだよ」
「私に先を読む力なんてありませんよ」
「じゃなくて。その…なんだっけ。ウイっていったか?」
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