sacrifice.01 二度目の未来

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「そうですね。王子も目にした通り、羽衣には未来を視る力があります」 「……」 「今更『信じない』は無しですよ?」 「……いや、元々信じたわけじゃねぇけど」 「しかし、"未来を視る"だけだと少しばかり語弊があります」 「何?違うわけ?」 「羽衣は"未来を視る"のではなく、"未来に起こる人の死"を視るのです」 「……」 「あ、王子。灰が、」   女がそう言った直後、太腿に熱を感じた。熱っ、と呟いて慌てて灰を落とす。女の話に集中し過ぎて煙草のことを忘れていた。 「例えば殺人事件もそうですし、事故や自殺もそうです」 「……俺が撃たれて死んだっていうのも?」 「ええ。今から四日前の夜に王子が死ぬところを見て、翌日にあなたの元に行きました」 「……」 「あなたは信じなかったみたいですけど…ああ、でも仕方がないですよ。普通いきなりそんなことを言われたって疑うに決まってますから」 その割には、俺がこの前の女にイカれてるって言ったことにはブチ切れてたけど。まぁでも、あいつのことを知っているこの女からすれば、俺の暴言には腹が立って当然だろう。
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