sacrifice.01 拒絶

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sacrifice.01 拒絶

――――― ―――― 屋上に座って緩やかな夜風に当たっていた。今みたいに寝る前にぼーっと空を眺めるのは日課のようなものだ。 「羽衣、ただいま帰りました」 すると、私の部屋から屋上へと続いている入口から藤花がひょっこり顔を出した。思っていたよりも遅い帰りだ。 「何か手こずった?」 「いえ。無事終わりました。が、連れてきちゃいました」 現れて早々にそう言うと、藤花はサッと顔を引っ込めてしまう。その代わりに、そこから別の人物が姿を見せた。 「へぇ…秘密基地みたいだな」 梯子を登り切った彼は感心したように呟いて夜空を仰ぐ。なんとなくそんな気がしていたので、特に驚くこともなかった。 「また会う羽目になるなんてね」 ぼそりと零せば、男は私を見る。その視線と交わらないように顔を逸らした。 「何しに来たの?」 「何しに…話しに?」 「そもそもこんな夜分に女の部屋にのこのこやってくるなんて頭がイカれてるんじゃないのか」 嫌味っぽく告げた瞬間、どこからともなくプッと吹き出す声が聞こえてきた。もちろんその犯人が誰なのか分かっている私は、「藤花」と彼女を呼ぶ。 すると、やはり聞き耳を立てていたのか、いなくなったはずの藤花が再び姿を見せた。 「勝手に部屋に入れないでくれる?」 「まぁまぁ。彼、羽衣に謝りたいことがあるみたいですよ」 じろりと睨みつけるけれど笑顔で躱される。男は自分のことを言われているというのに、我関せずといった様子で図々しく椅子に腰掛けた。
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