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「変?それは私がイカれてるとでも言いたいわけ?」
「いや、そうじゃなくて。美澄が異質だとか孤独だとかは正直どうでもいいけど、そもそもその力に一番怯えてんのって美澄自身だろ」
「は?私?」
「だって人の死ぬところが見えるんだろ?どうやって見えんのかは知らねぇけど、俺だったらそんな殺人現場を何回も見なきゃならないなんて考えるだけでゾッとするね。例えそれが赤の他人の未来であっても、人の死ぬ瞬間なんて目の当たりにしたら気が滅入るに決まってる。そんな光景ばっか見てる美澄が一番しんどいし見たくないに決まってんだろ」
「……」
「しかもその力で俺を助けたみたいに人を助けてるってすげーよな。神か」
感心したように頷き、ぷかぷかと煙草を吸う。そんな彼の横顔を見つめながらも、ポカンと口を開けて固まってしまった。
だって、今まで怯えられることはあったものの、そんなことを言われたのは初めてだったから。
大抵の人間は、"普通じゃないモノ"に一線を引く。そもそも人の死が視えるなんて言った暁には、小馬鹿にしたように嗤うのだ。
それを呆気なく信じた挙句に私の立場になって考える人間なんて、きっとどこを探しても彼くらいだろう。
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