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「今更そんなこと気になるの?」
「ずっと気になってたけど、周りに人がいて聞けなかったから」
「え、何?そうなの?」
「いつあんたと二人になれるのかって頃合い見てたけど全然なれねぇし、気になり過ぎて前みたいに屋上に押し掛けようかと思ってた」
「……もしかして、だから毎日通ってたの?」
「それもあるけど、金返したかったから」
「金?」
「一ヶ月前俺を助けた時に死体回収屋に金払ったろ。それ返したいんだけどって言ったら、藤花さんが、だったら店に通ってくれって。それだけで売り上げが伸びるからそれでいいって」
「へぇ…それで毎日来てたんだ。律儀だね」
「で?力のこと、聞いていい?」
ずっと気になっていたなんて言われたら、断るのも可哀想な気がする。ちらりと藤花を見れば、しっしっと手であしらわれた。
「どうやってとか言われてもなぁ…」
「例えばタイミングとか…どんな風に視えるのかとか、自分の視たいものが視れるのか、とか?」
「いや、自分の視たいものが視れるわけじゃない。それにタイミングもそうだし、誰の未来とかも、特に何か決まりがあるわけでもないんだ。ふとした時にその光景が脳裏をよぎる。寝ている時でも、起きている時でも」
「へぇ…。例えばさ、起きてる時ってどんな風に視えんの?」
「一瞬現実から離れる感覚がするけど、私にもよく分からない。気が付けば未来を覗いてて、いつの間にか元の場所に戻ってる。あとは近くにいればいるほど視やすい。その時近くにいる人、その時近い場所とかも関係するし、あとニュースを見てる時とか、かな」
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