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「君はバカだから授業受けた方がいいよ」
「教室でも虐められて羽衣ちゃんにも虐められたら世莉は自殺するかもしれない」
「虐めじゃなくて本気で言ってるんだ」
「はーあー。一気に学校生活がハッピーになるような出来事とかないかなぁ…。例えば王子様みたいな彼氏が出来てケバブ達から世莉のこと守ってくれるようなさぁ!」
「守られなくても生きていけるだろ」
「身長は180センチで〜細マッチョで〜もちろん黒髪で〜柔らかくて少しクセのあるふわふわショートヘアで〜ちょっとハーフ顔で〜目の色が薄茶色で〜小顔でフェイスラインが美しくて〜鼻が高くて〜」
「いるわけないだろそんな胡散臭い男……あ。いたな」
「え!?いるの!?」
呆れた矢先、ぽわんっと頭に浮かんできたのは彼の顔だ。世莉はガバッと起き上がると、目を輝かせながら私の顔を覗き込んできた。
「それは知り合い!?だとしたらどんな知り合いなの!?」
「……残念ながら煙草吸ってたよ」
「えー!ワイルドな王子様も素敵ー!」
キラキラとした眼差しを向けてくる世莉に、ひくりと頬が引き攣る。思わず口を滑らせてしまったことを後悔した。
彼…右京一覇は、今世莉が話した王子様にぴったりの容姿だ。とはいえ裏社会の人間に暗殺されそうになるくらいなので、お伽話の王子様からはほど遠いけれど。
それに、もう彼とは全く顔を合わせていない。二週間前に近付かないで欲しいと頼んで以降、ぱったり店に来なくなったのだ。まぁあんな風に拒絶されれば来なくなって当然だろう。
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