sacrifice.01 拒絶

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「羽衣ちゃん!その王子様紹介してよ!」 「いや、そんなこと言われても…」 「性格はどんな感じ!?」 「クズだよ」 「クズ大好き!」 「どう言えば諦めてくれるのかな」 もはや会う気満々の世莉は鼻息を荒くしている。どうしよう、ウザいな。 「一目会わせてくれるだけでいいから!そしたら世莉のエンジェル指数に堕ちない男はいないからさ!即ゲットだぜ!」 「その無駄なポジティブさで自ら王子様を見つけにいきなよ」 「ダメに決まってるじゃない!王子様は迎えに来てくれるのがセオリーでしょう!?」 なんて我儘な女だ。もはや真面目に答えるのも馬鹿らしくなり、とりあえず無視することにした。 するとその直後、がちゃりとドアノブを回す音が聞こえて、私と世莉は虚を衝かれたように固まる。やばい、先公にバレたか。 「え」「あ」 しかしそれは私の予想を遥かに裏切った。そこに現れた人を見た途端に小さな声を漏らせば、向こうにいる人と声が重なる。隣りで世莉が口をあんぐりと開くのが見えた。 「ひぎゃっ!お、おおお王子様!羽衣ちゃん、王子様が世莉のこと迎えに来たよぉ!?」 「……あーうん。そうだね、良かったね」 「あんな人この学校にいたっけ!?え!?いないよね!?」 「とりあえず自己紹介してくれば?私は帰る」 「えっ嘘でしょ!?二人っきりにしないで!」 さっきまでの威勢はどこに行ったのか。私の腕を必死に掴んでいる世莉を横目に、はぁ、と溜息を吐く。そうしている間にも私達のすぐ近くまで歩いてきていた彼は、じっと私を見つめてきた。
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