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「ねぇねぇ羽衣ちゃん。右京さんってクールなタイプ?」
「さぁ?あんまり関わってないから知らない」
「だってこの世莉を前にしてこんな風に平然としてられるのなんて右京さんくらいだよ!?」
「そういうところがタイプじゃないんだと思うよ」
世莉のポジティブさにはほとほと呆れる。が、世莉を見た時の他の男子達と反応が異なるのは確かだった。今まで興味がなくてスルーしていたけど、もしかして右京はどちらかというとクールなタイプなのかもしれない。
「あー…じゃあ私そろそろ行くね」
「俺も行く」
歩き出そうとしたらすかさず腕を掴まれてしまって、動きを封じられる。自然と彼を見上げたら、思っていたよりも身長差があることに驚いた。
「え、いや、なんで?」
「話があるから」
「悪いけど今から用事があって」
「それも藤花さんから聞いてる」
「だったら、」
「俺もついてく。迷惑かけないから」
既に今のこの状況が迷惑なんだけど?と思ったけれど、右京はまったく引く様子がない。逃げようかと思って試しに掴まれている腕に少しだけ力を入れてみたけどビクともしなかった。
「右京さん、だったら世莉とデートしません?」
「無理」
「そんな塩対応も素敵…」
頼みの綱である世莉も全く役に立たず、どうにかして断る口実を探すものの、無理やり手を引かれて強制的に連行されてしまった。
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