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「君ってつくづくズレてるね」
「は?ズレてる?」
「少なくとも私が今まで出会った人の中にはいなかったタイプだ」
「それは……褒めてんの?」
「褒めてない。居心地が悪いと言ってるんだ」
「……あんたほんとに言いたいことズバズバ言うよな」
「そうだね、よく言われる。もうちょっと可愛げがあればいいのに、って」
「いや、俺はそのくらいの方がいいけど」
「は?」
「口が悪くたってはっきり言う方が本音っぽいだろ」
「……」
そういうところが居心地が悪いんだよ、と思ったけれど、何を言い返しても居心地の悪い返事しか返ってこないような気がしたので、答えることなくお茶を飲んだ。
「その……私に話したかったことってそれ?」
「まぁ、うん」
「だったら私はまったく気にしてないので。どうぞお帰りください」
「なぁ煙草吸っていい?」
「まて。制服姿で煙草を吸うアホがどこにいる」
「バレっかな?」
「別にバレて君が補導されるのは一向に構わないけど、そろそろ時間なんだ」
「時間?」
腕時計を見て顔を上げれば、右京も私の視線を追いかける。ちょうどその時、さっきまで砂遊びをしていた小学生くらいの男の子が私達の横を通ろうとした。
今日こうしてこの場所にやって来たのは、"彼"に会うためだった。
「ねぇ、君。バスケが好きなの?」
「え?」
話し掛けると、男の子は足を止めて振り返る。彼の手には使い古されたバスケットボールがあった。
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