サイコ的ラブゲーム

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二日目の仕事はファッション誌の撮影だった。海外のセレブのファッションスタイルを中心にした有名な雑誌らしく、その表紙を飾るのだとか。 ヘアメイクを終えたシュリさんは、背中と胸元が大胆に開いた深めのスリットが入っている黒ドレス姿で、かなりタイトなので体の曲線がはっきりしている。そのウエストの細さとスリットから覗く脚の細さは、平均的な体型の半分くらいしかない。 前髪をすべて上げて長い髪は耳にかける髪型で、メイクはだいぶ強め。元々顔立ちがはっきりしているので印象は結構キツいが、写真にはそのくらい派手な方が映えるのだろう。 そして早速撮影が始まったのだけど、その現場はかなり独特なものだった。 その雑誌の編集長が、せっかくシュリさんを起用出来るならばと、強烈な印象を残せるような表紙にしたいと考えたらしい。 相良さん曰く、シュリさんは過去にアフリカで、ブランドの新作のヒョウ柄特集のため、本物の豹と一緒に撮影をしたことがあるんだとか。そのこともあり、何かパンチの効いたコンセプトにしようと考えた結果、パイソン柄を取り入れた新作を宣伝していることもあり、なんと蛇を使ったらどうかという流れに至った。 さすが日本と違って、とりあえずやってみようというノリが軽い。 そのため全長二メートルほどの細長い蛇を連れてきて、それを肩や腕や体に巻いて撮るらしい。日本では滅多に見る光景ではないので、蛇がうにょうにょシュリさんの体を這っている光景は衝撃的だ。 しかし、絵的にどうなることかと思ったけれど、実際は悪くない。というか、寧ろかなりいい。 強い印象を与えるシュリさんと、蛇が持つエキゾチックな雰囲気がかなりマッチしていて、カメラマンも意気揚々とシャッターを切っていた。 ちなみに俺は蛇は無理。見るだけでも鳥肌が立つのに、体に蛇を密着させて平然としているシュリさんはやっぱりどうかしている。
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