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書類をまとめていると携帯が鳴り、ボタンを押して耳に当てると、「伊吹さあああん!」というなんとも情けない相良さんの声が聞こえてきた。
「どうしました?」
「シュリさんが、シュリさんがいないんです!」
「え?」
「明日の朝運ぶ荷物を受け取りに行ったんですけど何度呼んでも出てこなくて、念のため合鍵を預かっていたので開けたんです。そしたらもぬけの殻で…」
「連絡は取ってみましたか?」
「それが鳴らしたら部屋のテーブルに置いてありまして」
「分かりました。僕が探しに行くので、相良さんはそこにいてください。入れ違いになる可能性がありますので」
「うう…お願いします。あれですかね?今日蛇のトラウマに直面したせいで過去を思い出して辛くなって自殺しようとなんかしてないですよね!?」
「ちょっと…怖いこと言わないでくださいよ」
「そしたら僕も伊吹さんも解放されますね…」
「自殺するよりもっと怖いこと言ってますよ」
相良さんが言いたい気持ちも分からなくはないが、さすがに自分が護衛を任されている手前トラブルは避けたい。
電話を切って置いてあったジャケットを着ると、急いでシュリさんを探しに出た。
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