サイコ的ラブゲーム

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しかしその姿は、思っていたよりも呆気なく見つかった。 「シュリさん、何してるんですか」 最上階にあるホテルの中に併設しているバーの中の、カウンター席の一番奥。 その手にはワイングラスと、テーブルにはワインのボトルが置いてあった。 「あら。なんで私がいないって分かっちゃったのかしら」 「相良さんが部屋に行ったそうです。駄目じゃないですか。何も言わずにいなくなったら。もし外に出て何かあったら」 「子供じゃないんだから大丈夫よ」 「そういう問題じゃなくて……っていうかどんだけ飲んだんですか。顔かなり赤いですよ」 「そんなに飲んでないわ。ねえ?」 シュリさんが声を掛けると、カウンターの向こうにいるバーテンダーは「五本目です」と答える。驚いて「五本目ですか?五杯目じゃなくて?」と聞き返すと、「五本目です」と同じ答えが返ってきた。 「ワイン五本はさすがに飲み過ぎです」 「平気よ。私酒豪だもん」 頬を赤らめたまま笑うシュリさんは、なんだかいつもの刺々しさというか、禍々しさが抑え気味だ。 「それだけ飲んだら満足でしょう」 「いいえ、ちっとも」 「……」 なんとか部屋に戻したいものの本人はまったくそのつもりはないようで、ぐいっとグラスの中身を空ける。 どうしたものかと悩みながらその姿を眺めていたけれど、最終的に諦めて溜息を吐くと、シュリさんの隣りを一つ空けて腰掛けた。 「そんなボディーガード丸出しの暑苦しい恰好で座らないで。ウザいわ」 「ウザい…」 足を組みながら上から下まで見定めるように俺を見る彼女は何様なのか。 もう一度溜息を吐き、仕方なくジャケットを脱ぐ。しかしまだ咎めるような眼差しを向けられるので、渋々ネクタイを緩めた。 「あなたも飲めば?」 「いえ。仕事中なので。というかシュリさん、本当に顔やばいですよ」 「私の美貌にケチつけるのなんてあなただけよ」 「別にケチつけてるわけじゃ」 「ねぇ、私の顔やばい?」 またまたシュリさんが声を掛ければ、バーテンダーは「いえ、綺麗です」と答える。「知ってる」と微笑み、シュリさんは再びグラスに口を付けた。 とりあえずシュリさんがここにいる限り俺はどうにも出来ない。そんな俺にバーテンダーの男性が水とつまみのお菓子を出してくれた。
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