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「お疲れ様です、シュリさん。一応紹介しておきますが、今日から僕と一緒に警護にあたらせてもらう伊吹です」
「伊吹光冴です。よろしくお願いします」
志季さんに続き、挨拶をしながら名刺を出す。
するとそれを受け取ったのはシュリさんではなく、隣りにいる相良さん。彼女は腕を組み、ただ俺を見上げるだけだった。
「では行きましょうか」
特に言うこともなさそうなので、志季さんが促して道を開ける。――が。
「……どうしました?」
シュリさんは歩こうとせず、それどころか徐ろに俺の腕をガシッと掴んできた。
思わず眉を顰めれば、シュリさんはゆっくりとサングラスを外す。瞬間、俺は小さく息を飲んだ。
雑誌やテレビで見ていたので知ってはいたものの、直接目の当たりにするその迫力は凄まじかった。
これまで女優やアイドルなどのボディーガードを幾度としてきたので免疫はあるけれど、これが世界を圧巻するモデルなのかと感服せざるを得ないほど。
元々背は高いのだろうが、ヒールのせいで更に高身長に見える。腕が長く、腰の位置が高く、体の曲線が美しく、顔は小さい。
もちろんスタイルだけじゃなく、顔立ちも隅から隅まで整っている。やや吊り目気味の大きな目と、真っ赤なリップが乗っているふっくらとした唇と、キメの細かい陶器のような白い肌。
しかし圧倒的な美貌を突きつけられる一方、なんだか魔女のような女だとも思った。
胸下まで伸びる艶やかで瑞々しいストレートの黒髪に、零れ落ちそうなほど大きな瞳も黒玉のような漆黒。更に服装も丈の短い黒色のワンピース。
ミステリアスな空気は更に彼女を色っぽく魅せ、その女王様のような風格は誰にも媚びない強い女性というオーラを漂わせている。
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