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考えてみたら、こんな気分は初めてかもしれない。
シュリさんの護衛についてからというもの、仕事以外のことで気を遣って神経を擦り減らしていたから、心に余裕がなくて苛々してばかりだった。
だけど正直、この前の海外渡航の時から、前ほどストレスを感じることはなくなっていた。
今ならなんとなく、以前志季さんが言っていた言葉の意味が分かる気がする。
"あの人って嫌なことは嫌だときっぱり言うし、誰にも媚びないし、陰口を言うより面と向かって殴り合う方がラクみたいな人だからさ、見てて清々しいというか、かっこいいなって思ったりもするんだよ"
あの時は何を言っているのかちっとも理解出来なかったけれど、彼女の仕事への真摯さだったり、撮影中に浅羽さんを責める周りの俳優に流されず、自分の目で見たことだけを信じて行動する強さだったり。
何より、浅羽さんの母親と浅羽さんに向けた言葉は、全部ひっくるめてめちゃくちゃかっこよかったな、なんて。
そんな風に考えている時点で、初対面の時からずっと抱いてきたシュリさんへの最悪な印象は、少しずつ変わってきているのかもしれない。
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