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住み込みで両親からの信頼度が厚いメイドの佐野さんに問いかけると、佐野さんは何処か悲しそうな瞳をして口を開いた。
「兎白坊ちゃん。貴方のご両親は、お仕事のため森を離れるのです。そして、坊ちゃんを家に残すのは、貴方を守るためなのです。どうか、ご両親様の気持ちをご理解ください。」
「分かんないよ。危険なら、わざわざ外で仕事しなくたっていいじゃん。父さんも母さんも、大人はずるいよ!好きな時に好きな場所へ行けてずるい!」
僕はそう言うと屋敷を飛び出した。走っても走っても、緑は何処までも続く。
一本道の道路を目印に走り続けると、大きな壁が僕の目の前を塞いだ。
その壁は、僕を森から出さないためのものだと思った。門は固く閉ざされ開かない。
「僕だけ独りじゃん。」
緑の上座り込み、そして空を見上げる。
何処までも続く青空には、鳥達が自由に飛び回っていた。
「坊ちゃん、そろそろ暗くなりますから戻りましょう?」
どれくらい空を見上げていた?
気付くと空は、オレンジ色に姿を変え、佐野さんが僕を呼んだ。
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