3.壊れた日常

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それは、僕の強い孤独による寂しさが"形"として、彼の顔にヒビが表れるから。そのヒビは、僕のせいだね。 突然、周りの声が一切聞こえなくなった。何故なら、黒也が僕の耳を塞いでくれたから。 この時の僕は、周りの僕に対する視線について、実在しない黒也と話しているからだと思っていた。けどもう1つ理由があって、僕自身、血飛沫(ちしぶき)を浴びたように痛みに染まりながら、口元が笑っていたから。 僕は気付いていない、自分の闇に。 黒也は気付いていた。だからこそ何も知らないふりをして、僕を背中に乗せ走ってくれたんだ。 「逃げよう。」 黒也はそう言って、僕らは遠くへ逃げる。 「兎白(とはく)、お前は俺が守るから。」 黒也は僕を強く抱き締めた。 「ずっと友達だ。傍に居る、約束だ。」
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