その男、使用人。

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「やだっ、やだやだやだ!取って取って取って取って!!!!」 「っ…くく、」 「っ笑ってないで早く取ってってばぁ!!!」 「分かってるよ落ち着けって」 「早くっっ!!!」 呑気に笑っている奴に殺意を感じたけど、手を伸ばしてひょいっとそれを素手で取ってくれたから怒らないでおく。 「こいつどうする?」 「っ何言ってんの早くどっかやって!うんと遠くに!!」 「めずらしい虫だし割といい値段で売れたりしねぇかな?」 「馬鹿じゃないの?!早くあっちにやってってばぁ!!」 虫が大の苦手な私にとって素手でそれを持っている奴が信じられなかった。 凄い顔をしている私をおかしそうに笑って「分かった分かった」とそれを遠くに投げて逃してくれる。
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