その男、使用人。

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教室に着くまでの間、ノアの隣を歩いているだけで、今日も注目を浴びる。 「はぁ〜ノア様今日もかっこいい…」 「どこを取っても完璧ですわ…お美しい…」 「容姿だけではなくて、成績も優秀ですし、お仕事の方でも、相当腕が立つとのことよ?」 「どうしてあんな子の使用人なのかしら」 …だけど最近は、私自身も、悪い意味で注目を浴びている。 私が俯いて黙っているのをいいことに、お嬢さま達は言いたい放題。 「お父さまに頼んで、もっといい条件でノア様を私のボディーガードにできないかしら?」 「今なら簡単ではなくて?だってあの子のお家、陥落寸前ですもの」 「本当に、よく学校に来れるわよね。どんな神経してるのかしら」 こそこそ、ひそひそ。 とも言えないくらいの声の音量。 直接言われた方がマシなくらいだ。 …いや、直接言われたら困るか。小心者の私は、何も言い返せないから。 肩を小さくしている私を横目で見て、ノアがため息をつく。 「……逆にお前は、俺と反対だな。内弁慶というか…家で俺に言い上げてくる時の威勢はどうした」 「うるさい…」 「堂々としろよ。反応するからつけ込まれるんだぞ」 「だって…」 お互いにしか聞こえない声で喋りながら、同じ教室へと向かう。 ノアとは小中高ずっと同じクラスだ。 パパが手を回している…と、勝手に思ってる。
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