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「…さっきの子は？」
「さっきの子？」
「お昼誘われてたじゃん」
「そうだっけ？」
「………」
超人並みに記憶力が良いくせに、すっとぼけるノアにイライラする。
…別に、いいけどさ。
さっきからスマホ、うるさいんだけど。
「…鳴ってるよ。電話じゃないの？」
「電話かもな」
「………」
「………」
「出ないの？」
「なんで？気になる？」
「っ…は？別に、どうでもいいしっ！」
ふんっ、とノアに背を向けてお弁当を食べるのを再開する。
奴が後ろで嬉しそうに笑っているとは知らず、大好きなアスパラベーコンを頬張った。
ノアは、携帯を二つ持ってる。
一つは仕事用。主にこっちでパパや私と連絡を取っている。
そしてもう一つは、プライベート用。おそらくこっちでは数え切れないほどの女の子と繋がってる。ロックをかけていない待ち受け画面にいつも女の子のラインがズラリと並んでいるし。
…ちなみに、プライベート用の方の連絡先を、私は知らない。
そういうところも…きらい。
私は仕事の人。そう言いたいんでしょ。勝手に線引きされてる気がしていつもむかついてる。別にいいけど、ふん。
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