end of Melancholy

衣織珀斗という男

毎年アーティスト活動とは別でそういったランキングが発表されるのだけど、一年を通して世界中の一般の人達が投票する結果で決まるらしく、それがまさか自分が一位に選ばれるだなんて思いもしなかった。

恐らく数年前からアメリカの方でテレビに出たりドラマに出たりしていたからその影響が大きいのだとは思うけど、それにしても、どう考えたって僕なんかよりも格好いい人は巨万といるわけで。

それなのに事あるごとに世界一とか言われるから、え？こいつが？とか思われるだろうし、自分でもこんな僕がイケメンとか言われてごめんなさいって申し訳なくなる。

寧ろ珀の方が絶対絶対絶対100%一位に相応しいし、トトやニニやサヤさんこそが真の美男子だろうに。

まぁ結局、投票してくれるファンの人達には感謝しているけど、決してそのランキングが正しいとはいえないってこと。

「キラさん、こっち向いて」

すると歩いている途中で珀がいきなり呼びかけてきて、顔を向けると、その手にはスマホがある。

反射的に写真用の顔を作ると、「めっちゃいい感じです。夜道を歩くキラさん」と、珀はベタ褒めしながら僕を写メに収めていく。

正直ただ歩いているだけなのに、何がいい感じなのかはよく分からない。