衣織珀斗という男

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――――― ―――― 時間があればSNSのオタク垢をチェックしている私は、その投稿があがった瞬間、思わず大きな声を出していた。 「ちょっと!琥兄これ見て!」 その情報を共有すべくソファーに座っている琥兄にスマホの画面を見せると、自分の携帯を触っていた琥兄は視線を寄越す。 「お。キラと……フジ?」 「そう!公式があげたやつなんだけど、トトとニニとキラでご飯食べに行ったんだって!そしたらトトが酔っ払ってキラに熱い抱擁したって!」 「えー俺もキラに抱きつきてー」 「それな!……だけどそれだけじゃなくて、二枚目のこれ!」 琥兄に共感しながらも画面をスライドさせてその次の写メを映す。それを確認した琥兄は、「え、珀斗じゃん」と言った。 その写メには珀斗がキラの腕に腕を回して歩いている後ろ姿が映っていて、"夜道を散歩"という言葉が添えられている。 それは瞬く間に脅威的な数のファボ数とリツイート数を誇り、騒然とするファン達の反応でTLは溢れ返っていた。 「こやつ、明日私と出掛ける予定だったくせにキラのとこに行ったんだよ!」 「あー…なんか言ってたもんな。マネージャーさんがうちまで送ってくれた時、今回の休みではキラは帰省しないって言ってたって」 「それで姉とのデートを放り出してキラのところに行くのって薄情過ぎない!?」 「いや、断然キラのところに行くし、そもそも姉とのデートって璃乃が勝手に決めただけだろ」 「せっかく新しくできたアウトレットに行きたかったのにー!」 「珀斗がアウトレットなんか行ったら速攻バレて囲まれるのがオチ。それに休みの日くらい誰の視線にも晒されない時間を過ごしたいんだろ」 「……それはそうだけどさぁ…」 どうやら琥兄は私よりも珀斗の味方らしく、呆れた表情を浮かべている。 その反応に不貞腐れながらもTLを眺めていると、kioraについての呟きが次から次へと出てくる出てくる。
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