衣織珀斗という男

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関心したように私を見てくる琥兄に、えっへんと得意げに笑ってみせる。 そうさ。生意気な弟でも、いくら言ってもキラに会わせてくれない嫉妬深くて面倒臭い弟でも、なんだかんだ血の繋がった大切な弟に違いないんだ。 そう思った矢先、ポヨンと音が鳴り、メールがきたことを知らせた。 「……は?ちょっとまて。なんだこれは」 「ん?何?」 「……」 「は、やば。"こいつ俺の"感がすごいな」 突然珀斗から送られてきたのは一枚の写メ。それを見て固まる私の横で、琥兄はおかしそうに笑った。 そこには、大大だーーーい好きなキラがいて一瞬舞い上がったのだけど、その横には余計なおまけが映っていて。 キラと珀斗のその近さは、まるでラブラブなカップル達が自撮りするような距離感。 顔を寄せ合い、さりげなく珀斗の手がキラの肩に回ったりしている。そして琥兄の言う通り、珀斗のちょっとだけ得意げな顔。 どう見ても、"こいつ俺の"とアピールしているようにしか見えない。 「な、んだコイツ!私のキラに気安く触りやがって!!!」 「いつ璃乃のものになったん」 「はあああ!超ウザい!このドヤ顔超ウザいいい!!!」 「こうやって見たら珀斗もやっぱ綺麗な顔してんなぁ」 「ありえん!こいつまじでありえん!もう出禁だからな!もうこの家にお前の居場所はないからな!」 「たったさっきいいこと言ったばっかなのに」 「はあああムカつくけどキラめっちゃくちゃイケメンだな!?」 「そこは抗えないんか」 珀斗の当て付けのようなメールには腹が立つけれど、そのプライベート感満載のキラはやっぱり尊かった。 もう寝る前なのかノーメイクだし髪もセットしていないのに、元々の顔面の造りがレベチだからただただ神々しい。 『璃乃、もう寝ちゃったの?夜はまだ長いのに』ってその顔で言われたい。その腕の中に閉じ込めて朝まで離さないで。 「トリミングしよ」 結局キラのことを世界一愛している私にとっては、珀斗の嫌がらせさえご褒美でしかなかった。
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