夢の始まり

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その時の俺は、ただなんとなく生きているような、そこら辺にいる子供と同じだった。 適当に小学校に行って、誘われたらゲームして遊んで、悪戯が好きで先生にも親にもよく怒られて、門限を過ぎても平気で遊び回って、テストが嫌だからって学校行くフリして公園で時間潰したりして。 みんなと同じの……いや、ちょっとだけやんちゃなせいで叱られてばっかの日常。 そんな俺にとって唯一特別なものといったら、姉ちゃんと兄ちゃんの影響で、小学校に入ってからすぐに通い始めたダンス教室。 これが実は俺の性に合っていたらしく、あれよあれよと技術を吸収して、気が付けば十五歳以下のあらゆるジャンルのダンス部門で次々に賞を総なめしていった。 "衣織(いおり)珀斗(はくと)" 普通な俺だけど、ダンスを本気でやっている人達からすれば、その名前はそこそこ有名だった。
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