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「よっしゃ勝ちー!!」
「くっそ…負けた!」
久しぶりに祥太郎に勝てて、るんるんスキップで反対コートに煽りに行く。
「ほっほっほ、まだまだですなぁ祥太郎氏」
「うるせぇ右手だとバックが打ちにくいんだよ!」
「はい言い訳〜」
ドヤ顔で威張ると顔をヒクつかせた祥太郎がまぁまぁの力でヘッドロックしてきた。
「お前マジでむかつく」
「っ痛い!痛い痛い、ほんとに!!」
「今日の飲み会で飲ませようかなー。超酒雑魚の真白ちゃん?」
「っそ、それだけはご勘弁を…」
「あ、そう?」
「調子に乗りましたごめんなさい…」
「分かればいい」
ようやく首を解放されてゲホゲホと咳き込んだ。
素知らぬ顔で水分補給に行く祥太郎。
馬鹿力め…とその背中を睨みながら、私も休憩しようと歩き出した時、
「…っ…」
何やら後ろからただならぬ殺気のようなものを感じでバッと振り返る。
するとフェンスの先に、相変わらず抜群にスタイルのいい彼の姿。
……?彼方…?
目が合うとにこりと笑った彼に、ちょいちょいと手招きされる。
今日会えるとは思ってなかった。
近づくと、いつも通りに見える彼方。
さっきの殺気は…気のせい?
「春野くん?テニスに来るのめずらしいね?」
そこで目が合って、ようやく違和感に気がついた。
あれ…目が笑ってない…
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