限界

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「馬鹿かお前!」 ベシ!と後ろから頭を結構な力で叩かれる。 衝撃で持っているトランプを落としそうになった。 「っ痛い祥太郎さっきから!!」 「なんでそうなるんだよ!大富豪のルール知ってる?」 「知ってるよ!ちゃんと考えてるから黙ってて!」 「あーもう無理無理詰んでるってそれ。なんでそうなんのお前シラフだろ。負けたら全部俺が飲んでんだから」 「仕方ないじゃん!そんなの一杯でも飲んだら私死んじゃう!」 「偉そうに言うな!」 男女ペアでトランプ。負けたらウイスキー。 そんなデスゲームで、祥太郎とペアになったのはいいがさっきから怒られてばかり。 なぜなら私がトランプ弱すぎるから。 「はい真白負けー」 また負けた… なんで?どうしてこんなに手札が残ってしまうの? 「ごめん祥太郎、飲んで?」 「お前ちょっとは申し訳なさそうにしろ」 言いながらも秒でショットグラスを空にして、コン、とそれをテーブルに置いた。 すぐに水を飲んだ後、ふー…と息を吐く祥太郎。 …あ、やばい、めずらしくちょっと顔赤い。 「ごめん…次は勝ちます…」 「ほんとにな」 だけど人間急に賢くなれる訳はなくて。
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