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「祥ちゃんいないんだけど」
「えー帰ったのかなぁ?」
残念そうにしているお姉さま方。
でもすぐにまた違う話題で盛り上がってお酒を飲み始める。
…祥太郎1人で帰ったのかな。
まぁあやつリバースすれば無敵だからな…
心配ないだろうと思い、私もお手洗いに向かう。
するとお風呂場に人影。
……まさか。
「……祥太郎…?」
…いるじゃん。
先輩靴までは確認しなかったんだな。
「って、どうしたの…?!」
座り込んで膝に腕を置き、項垂れるように下を向いている祥太郎。
飲み会後いつもケロッとした顔で締めのラーメンに行くイメージしかないから、驚いて慌てふためく。
声をかけても「…真白か」と顔を上げずに呟くだけ。
「ね、ねぇ大丈夫?」
「大丈夫じゃない」
「吐いてないの?」
「先輩の家でそんなことできない」
「ええっ?!」
いやさっきからみんなトイレでおえおえ言ってるって!
なぞの礼儀正しさを発揮している祥太郎は頑なに吐くつもりはないらしく、ここで休憩している様子。
確かにちょっと死角になってるし、酔ってる人は気が付かないかも。
…どうしよう。
とりあえず水取ってこようか。
「待ってて。今水を、」
「帰るわ」
「え」
むく、と起き上がって玄関で靴を履き始める祥太郎。
バランス取れなくてゴン、て壁で頭打ってる。やばいぞ、これ。
「ちょ、ちょっと待って!もう少し酔い覚めてからにしたら!?」
「迷惑かけたくない」
「いや迷惑って…みんないろいろやらかしてるから大丈夫だって!」
さっきも盛大にお酒こぼしてる後輩いたし!
そう言っても聞く耳を持たない祥太郎はドアを開けて外に出て行ってしまう。
ど、どうしよう。
ほっといて大丈夫かな?
男の子だし…
だいたい私が行ったって支えて歩けるかどうか…
部屋に戻って誰かに助けを求めようとしたけど、正気そうな人は誰もいなくて頼めそうにない。
………。
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